ビル管法 における加湿器の点検基準とは?加湿器の方式別の点検項目や清掃の重要性を解説 - 点検業務のDXはCHECKROID

お役立ちコラム Column

  • TOP
  • コラム一覧
  • ビル管理
  • ビル管法 における加湿器の点検基準とは?加湿器の方式別の点検項目や清掃の重要性を解説

ビル管法 における加湿器の点検基準とは?加湿器の方式別の点検項目や清掃の重要性を解説

2022.06.09

品質管理

点検業務

ビル管法

加湿器

事務所や店舗などの 特定建築物 には、 ビル管法 ( 建築物衛生法 )により、加湿器の設置が義務付けられています。加湿器の設置は、建築物の環境保全に有効であるため、確実な稼働と点検が非常に重要です。この記事では、 ビル管法 の概要や加湿器 の点検項目、清掃の重要性などについて解説します。

ビル菅法 コラム画像

ビル管法 における 加湿器 の 点検基準 とは

特定建築物に設置された 加湿器 には、利用者の健康管理の観点から、一定頻度で点検・清掃を行うことが、 ビル管法 で定められています。加湿器 を点検・清掃せずに使用していると、加湿器内 でカビやレジオネラ菌などが発生し、さまざまな体調不良になるおそれがあるため、それを予防するために義務付けられています。

最低頻度は、点検は1ヶ月に1回、清掃は1年以内に1回です。また、点検時に必要であれば清掃を実施しましょう。

※参考:ビル管法に関する法律施行規則第三条の十八 空気調和設備に関する衛生上必要な措置(令和4年6月16日現在)|厚生労働省

ビル管法 とは

ビル管法 は、特定建築物の環境保全のために、さまざまな項目を義務付けています。ここでは、 ビル管法 の概要について解説します。

厚生労働省が定める法律

ビル管法 の正式名称は「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」で、厚生労働省が定めている法律です。厚生労働省の略称としては「建築物衛生法」ですが、一般的にはこれ以外に「 ビル管法 」「 ビル管理法 」と呼ばれることもあります。

ビル管法 の目的

ビル管法 の目的は、不特定多数の人々が利用する特定建築物を衛生的に管理することで、利用者や従業員などの健康を保つことです。それを達成するために、空気や水、環境衛生の管理項目を明確にし、点検・清掃などを定めています。

ビル管法 の管理項目

ビル管法 では、特定建築物を衛生的に保つために、建築物環境衛生管理基準を設けています。この管理基準には、空気環境、給排水、清掃、ねずみ、昆虫等の防除があり、それぞれに必要な措置が異なります。

※参考:建築物環境衛生管理基準について(令和4年6月16日現在)|厚生労働省

空気環境の調整

特定建築物には、何らかの空調設備が備え付けられています。この空調設備とは、浄化や温度、湿度、流量の調節の4機能を備えた設備です。

空調設備は2ヶ月以内に1回、浮遊粉じん、一酸化炭素、二酸化炭素、温度、相対湿度、気流、ホルムアルデヒドの測定を行います。このうち、ホルムアルデヒドは、特定建築物の新築・増築、大規模な修繕や模様替えなどが行われた場合、使用開始日以降の最初の6~9月の間に1回測定が必要になります。

また、空調設備以外の空気環境の調整に必要な設備としては、冷却塔、冷却水管、加湿装置があり、1ヶ月以内に1回の点検と1年以内に1回の清掃が必要です。

給水の管理

ビル管法 の中での「給水」とは、飲料水、雑用水を指し、それぞれ管理基準値が設けられています。飲料水では、残留塩素は7日以内に1回、一般細菌・大腸菌・ph値など16項目について6ヶ月に1回、塩素酸・クロロホルム・ホルムアルデヒドなど12項目について1年に1回の検査が必要です。また、貯水槽の点検も1年以内に1回の点検が義務付けられています。

そして雑用水では、残留塩素・臭気など2項目は7日以内に1回、大腸菌・濁度は2ヶ月以内に1回の検査が必要です。ビル管法 でいう雑用水とは、水洗トイレ用、散水用、清掃用、噴水等の修景用などを指します。

排水の管理

ビル内および敷地内での排水を行う設備は、おもに排水槽、排水管、汚水槽、阻集器などがあります。これらの排水設備は、いずれも6ヶ月以内に1回の清掃を行う必要があります。

清掃

ビル内の清掃に関しては、小規模な清掃は日常的に、大規模な清掃は6ヶ月に1回、定期的・均一的に行うよう義務付けられています。大規模な清掃になると、業者に依頼することが大半です。また、各種廃棄物についても、適切に処理することが求められます。

ねずみ等の防除

ビル内には、人間に害を及ぼす生物が住み着くことがあります。害獣、害虫に分類されるのは、病原微生物を媒介するねずみ、ゴキブリ、ハエ、蚊、ノミ、シラミ、ダニなどがあげられます。放置していると利用者への健康被害が発生する可能性が高くなるため、6ヶ月以内に1回、これらの生物が発生していないかの調査が必要です。

ビル管法 の「特定建築物」とは

商業施設Foodコーナーイメージ

ビル管法 では、加湿器の点検や清掃などの規定を定めた「特定建築物」を選定しています。ここでは、どのような建築物が該当するのかを解説します。

特定建築物 に該当する建物

特定建築物 とは、建築基準法に定義された建築物を指します。延べ面積3,000平方メートル以上の興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、旅館が該当します。また、小学校や大学などの教育機関は、延べ面積8,000平方メートル以上の建築物が該当します。

※参考:ビル管法第二条 定義(令和4年6月16日現在)|厚生労働省

大規模でも該当しない建物

一方で、一見すると大規模に見える建築物でも、特殊な用途があり、設備が異なる建築物は特定建築物には該当しません。具体的には、病院や介護施設、工場、マンションなどがあげられます。また、駅や駐車場、研究所などは、用途や付随する建築物などにより該当されるか否かが変わります。特定建築物か否かの判断に迷う場合は最寄りの保健所に問い合わせましょう。

※参考:建築基準法第二条二項 用語の定義(令和4年6月16日現在)|国土交通省

加湿器の点検・清掃方法

加湿器の主な方式としては、気化方式、蒸気方式、水噴霧方式の3種類があります。それぞれの方式の仕組みや点検、清掃方法を解説します。

気化方式の仕組み

気化方式は、水をフィルタに透過させた後に、加湿エレメント上に滴下させ、そこに風を当てることで蒸発気化した水により加湿する方式です。加湿に熱を用いないため、その分電気代を抑えられます。ただし、雑菌の繁殖や腐敗臭が発生しやすいというデメリットもあります。

点検・清掃方法

気化方式は雑菌や腐敗臭が発生しやすいことから、こまめな点検・清掃が必要です。フィルタは月に1回以上、加湿モジュール、給水ヘッダーは1年に1回以上は行うようにしましょう。

蒸気方式

蒸気方式は、水を電熱装置で温めて蒸発させることで加湿する方式です。ファンを内蔵している加湿器もあります。雑菌の繁殖や不純物の混入が少なく、清潔に使いやすいです。電熱装置を用いる分、消費電力が多くなるのがデメリットです。

点検・清掃方法

蒸気方式の加湿器は、蒸発した水道水に含まれるミネラルがスケールとなり付着しやすいという性質があります。本体の点検、水槽内清掃は月に1回以上、分解しての点検は、1日あたりの運転時間によって1~3年ごとに行うことが望ましいです。

水噴霧方式

水噴霧方式は、超音波により、水を振動させて微細な粒子に変換し、空気中に撒く方式です。加湿器自体の構造がシンプルで、安価で購入しやすく、消費電力も少ないことがメリットです。他方で、水道水に含まれるミネラルなどの成分や繁殖した雑菌がそのまま拡散されてしまうため、健康被害のリスクが高まる可能性があります。

点検・清掃方法

水噴霧方式の加湿器は、雑菌の繁殖が起きやすいため、各種点検と清掃を怠るのは危険です。1日あたりの運転時間によって1~5年ごとに振動子の交換と、本体内点検、水槽内清掃、フィルタ清掃などのメンテナンスを適宜行いましょう。

加湿器の点検・清掃の重要性

ビル内に設置された加湿器を点検・清掃することは、環境保全の観点から考えても非常に大切です。ここでは、点検・清掃の重要性について解説します。

健康被害を防ぐ

先述したとおり、加湿器の内部の点検・清掃を怠ると、さまざまな健康被害が起きる可能性があります。加湿器内に繁殖したカビや雑菌は、「加湿器肺炎」という疾患を引き起こすことがあります。

また、レジオネラ菌、結核菌、インフルエンザなどの病原体による集団感染も留意しなければなりません。実際に高齢者施設でレジオネラ菌による集団感染が起きたケースもあります。

加湿器の点検や清掃を怠った場合

ビル管法 の管理基準に達していない加湿器が稼働していたとしても、ただちに罰せられたり、行政措置が入ったりすることはありません。しかし、利用者の健康を損なうおそれがあると判断された場合は、都道府県知事や保健所長から改善命令が出されます。ただし、緊急性の高い事案となれば、事態が収束するまでの間、設備の使用停止もしくは使用制限が課せられることもあります。

まとめ

まとめパート挿入イメージ

ビルの管理は、多数の点検・清掃箇所があり、ミスや漏れがあれば、利用者の健康を損なう可能性があります。一方で、ここまで点検・清掃すべき箇所が多いと、ミスなく確実に行ったり、点検そのものが手間となってしまいます。

SCSK北海道株式会社が提供しているソリューションサービス「 CHECKROID 」では、点検・業務を効率的に行えるサービスです。現場では、スマホから簡単に作業内容やマニュアルの確認、作業結果の入力、写真撮影なども行え、拠点では誰がいつどこで行ったのかなど報告や進捗状況を確認できます。管理業務の約90%を省力化することができると評判が高く、社内のDX化の第一歩として導入する企業も増えているため、ぜひ一度お問い合わせください。