
社内のDX推進やIT化を検討している担当者もいるでしょう。DX推進・IT化の手法としては、トレーサビリティの導入が1つの選択肢です。この記事では、トレーサビリティが必要な理由や種類、導入するメリット、管理方法について解説します。ぜひ参考にしてください。
トレーサビリティとは
トレーサビリティとは、商品や原材料が「いつ・どこで・誰によって・どのように」生産、加工、流通されたのかという履歴を追跡できる仕組みを指します。日本語では「追跡可能性」ともいわれ、食品や医薬品、工業製品など、安全性や品質が重視される分野を中心に導入が進められてきました。
近年では、企業の社会的責任やサステナビリティ(持続可能な発展を目指すこと)への関心が高まっており、トレーサビリティの重要性は一層高まっています。
ブロックチェーンとの関係性
トレーサビリティを高度化する技術として注目されているのが、ブロックチェーンです。ブロックチェーンは、取引や記録を分散型の台帳として管理する技術であり、一度記録された情報を改ざんすることが極めて難しいという特性を持っています。
ブロックチェーンを活用すると、生産者、加工業者、物流事業者など、複数の関係者が同じデータを共有し、相互に確認できるため、情報の信頼性が高まります。
トレーサビリティが必要な理由
トレーサビリティが必要とされる理由は、製品やサービスの安全性と信頼性を確保するためです。万が一、不具合や事故、品質トラブルが発生した場合でも、製造や流通の履歴をたどることで原因を迅速に特定でき、適切な対応を取ることが可能になります。
また、不正や偽装の抑止という点でもトレーサビリティは重要です。生産地や原材料、加工工程が明確に記録されていれば、虚偽表示や不正流通が発覚しやすくなり、サプライチェーン全体の健全性が保たれます。
トレーサビリティが注目を集めた事例
トレーサビリティが社会的に大きく注目されるきっかけとなった代表的な事例が、BSE(牛海綿状脳症)問題です。BSEは牛に発症する感染症で、人への健康被害の可能性が指摘されたことで、消費者の間に強い不安が広がりました。
日本では2001年にBSE感染牛が確認され、牛肉の安全性に対する信頼が大きく揺らぎました。この問題を受けて、「その牛がどこで生まれ、どのような経路で流通してきたのか」を明確に把握できる仕組みの必要性が認識されるようになりました。
トレーサビリティの種類
ここでは、トレーサビリティの種類について解説します。
チェーントレーサビリティ
チェーントレーサビリティとは、原材料の調達から製造、加工、流通、販売に至るまで、複数の事業者にまたがるサプライチェーン全体を通して履歴を追跡する仕組みです。
生産者や加工業者、物流事業者、小売事業者などが情報を連携させることで、製品がどの経路を通って消費者のもとに届いたのかを把握できる点が特徴です。
内部トレーサビリティ
内部トレーサビリティとは、特定の企業や工場、事業所の内部において、原材料や部品、製品の流れを管理・追跡する仕組みを指します。入荷した原材料がどの工程で使用され、どの製品として出荷されたのかを把握することで、社内の製造プロセスや在庫管理を可視化できます。
トレーサビリティを導入するメリット
ここでは、トレーサビリティを導入するメリットについて解説します。
リスク管理を強化できる
トレーサビリティを導入するメリットは、リスク管理を強化できることです。製造不良や異物混入、不正流通などの問題が起きた場合でも、どの工程やロットに原因があるのかを迅速に特定できるため、対応の遅れによる被害拡大を防げます。
また、影響範囲を正確に把握できることで、必要最小限の回収や対応にとどめられ、コストや業務負担の増大を抑えられます。
製品の品質を高められる
トレーサビリティは、製品の品質向上にも有効です。原材料の調達から製造、検査、出荷までの各工程が記録・可視化されることで、品質に影響を与える要因を把握しやすくなります。問題が発生した場合でも、その原因を分析し、工程改善へとつなげることが可能です。
また、製造プロセスを常に見える化することで、現場の意識向上や作業の標準化が進み、品質のばらつきを抑える効果も期待できます。
ブランドイメージを高められる
ブランドイメージを高められることも、トレーサビリティを導入するメリットです。製品の生産背景や流通経路を明確に示すことで、企業の透明性や誠実さを消費者に伝えられるでしょう。
近年は、安全性や環境配慮、倫理的な調達に対する関心が高まっており、こうした情報を開示できる企業は、社会的評価を得やすくなっています。トレーサビリティを通じて信頼を積み重ねることで、ブランド価値の向上や長期的な顧客関係の構築が実現できます。
顧客満足度が高まる
トレーサビリティを導入すれば、顧客満足度の向上が期待できます。製品がどのような原材料を使い、どの工程を経て手元に届いたのかを明確に示せるため、顧客は安心して商品やサービスを利用できるようになります。
また、万が一トラブルが発生した場合でも、迅速かつ誠実な対応が可能になるでしょう。問題の原因や影響範囲を正確に把握し、必要な情報を適切に伝えることで、顧客の不安や不信感を最小限に抑えられます。
トレーサビリティを管理する方法
ここでは、トレーサビリティを管理する方法について解説します。自社に合う方法を取り入れるためにも、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
RFIDタグ
トレーサビリティを管理する方法の1つは、RFIDタグです。RFIDタグは、電波を用いて非接触で情報を読み取れる技術であり、トレーサビリティ管理の高度化に役立ちます。タグを製品やパレット、コンテナなどに取り付けることで、離れた位置からでも複数の対象を同時に読み取れる点が特徴です。
RFIDタグの活用により、入出庫や移動の履歴を自動的に記録でき、人手による入力ミスや作業負担を軽減できます。
バーコード・2次元QRコード
1次元コードや2次元コードは、比較的導入しやすいトレーサビリティ管理手法として広く利用されています。製品や包装に印刷したコードを読み取ることで、品番やロット番号、製造日などの情報を簡単に管理できます。スムーズに読み取りが可能なため、導入すれば業務効率化につながります。
ブロックチェーン
ブロックチェーンは、トレーサビリティ情報を改ざんしにくい形で記録・共有できる技術として注目されています。取引や工程の履歴を分散型の台帳に蓄積することで、特定の管理者に依存せず、複数の関係者が同じ情報を確認できる点が特徴です。
情報の信頼性や透明性が高まり、サプライチェーン全体で一貫したトレーサビリティ管理が可能になります。
タブレット
タブレットは、現場での入力や確認を効率化する手段として有効です。製造や検査、出荷の各工程でタブレットを使用すれば、その場で情報を記録・共有でき、紙による管理と比べて情報の即時性がアップします。
操作性に優れていることから、ITに不慣れな現場でも導入しやすく、柔軟なトレーサビリティ管理を実現できます。
トレーサビリティを導入する課題
トレーサビリティの導入を進める上で、仕組みや技術以前に、運用面での課題を正しく理解する必要があります。たとえば、どこまでの情報をどのタイミングで取得するのかなどを整理し、情報を集めるインフラを整えなければ、情報が過不足なく集まりません。
また、各サプライヤーとの連携も大きな課題です。チェーントレーサビリティを実現するには、自社だけでなく複数の関係先と情報を共有する必要があるため、ズレや齟齬がないようにしなければなりません。
まとめ

トレーサビリティは、製品やサービスの信頼性を高めるだけでなく、リスク管理や業務効率化にも有益な仕組みです。将来を見据え、今のうちからトレーサビリティ導入を検討することが重要です。
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